私は、かねてから事業にも哲学がなければならないと考えてまいりました。
そして、おおよそ経営方針というものは、この確固たる事業哲学から摘出されたものでなければならないと考えています。我が社の経営理念は、私なりにつくった思索の過程から展開されてきたものであります。その思索の過程とは創立以来60余年、貴重で生々しい体験を通じて生れて来た ものであります。そして、たとえ時が移り、人が変っても、経営幹部はじめ全社員の心に焼きついたこの方針は不変のものであると自負する次第です。
企業は永遠である。いうならば、会社はすべての社員共同の生活の基盤であり、又、人間完成の永い試練の場でもあります。私は、第一に、会社の発展がそのまま社員の幸福に、又、物心両面の生活の向上に直結することを念願いたします。
そのためには、会社はすぐれた製品を研究して作り、しかも安く市場に送り、お客様に喜ばれなければなりません。私はつねに、社員と会社の二つの立場から要求を調和充足し、その過程を通して、社会の発展に寄与するとともに、公器としての社会性を自覚して、産業経営者としての使命を遂行することを経営の理念と致します。
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